お盆休みを利用して南アルプス南部の山々を縦走した。
事前の天気予報はなんとも微妙なところ。天気に翻弄された5日間だった。
1日目 8/11
前日の夜、八王子から出発したバスは見事にお盆休みの渋滞にはまり、南アルプス登山指導センターに着いたのは10時前。
本来ならば早朝に着くはずだったので、1日目の予定を大きく変更せざるを得なかった。
1日目は茶臼小屋まで行くのを諦め、横窪沢小屋までの道のりである。
【コースタイム】
南アルプス登山指導センター 9:55 - 茶臼岳登山口 10:55 - ヤレヤレ峠 11:07 - ウソッコ沢小屋 12:40 - 中ノ段 13:50 - 横窪沢小屋 14:50 (泊)
さて、出発。
茶臼岳登山口までは砂利道歩き。話しながらだったので1時間かかったが、コースタイムでは約40分程。
登山口からは長い吊橋。ダムを渡っていく。
ダムに水が無い。一部が川みたいになっている。
流れてきた木も干上がって、ひと塊りに。なんだか不思議な光景である。
橋を渡ると樹林帯の中を九十九折に登って行くのだが、しょっぱなからなかなかの急登で汗が噴き出してくる。
1時間ほど歩き、ヤレヤレ峠に到着。
重い荷物と急登で息が上がってしまったが、仲間がゆっくり歩いてくれたおかげで少しづつ回復する事が出来た。
沢の音がしてくると、幾つもの小さな橋を渡る。
ウソッコ沢小屋 着。
小屋は森の中にポツンと建っていた。
無人の小屋だが小屋から少し下った沢沿いに水場があり、豊富な水が流れ出ていた。水は冷たくてとても気持ち良かった。
とにかく水が綺麗なのだ。青い。
橋を渡り、中ノ段。
沢から離れてからは、等高線がグネグネ曲がる所を直登していった。
横窪峠まできたら、小屋はもうすぐだ。
そういえば、この「窪」という字。自分の名前に入っているからか山の中で見かけるとなんだか嬉しい気持ちになる。
横窪沢小屋 着。
小屋の下には沢が流れており、水が豊富だ。到着するとご主人が麦茶を出してくれた。
テン泊の受付を済ませて、テントを設営に取り掛かる。
一緒に行った仲間のテントはシュッとしていて格好良い。
夕方、手ぬぐいを干していると冷たいものが顔に当たった。雨だ。
しかし、その後は降ったり止んだりで、夜中には晴れて満点の星空を見る事が出来た。
今にも落ちてきそうな空で、星が幾つも流れていった。
2日目 8/12
【コースタイム】
横窪沢小屋 5:05 - 展望ベンチ 5:35 - 樺段 6:50 - 茶臼小屋 7:55 - 8:20 - 茶臼岳 9:20 - 仁田池 9:48 - 易老岳 12:15 - 静高平 15:01 - 光小屋 15:30(泊)
2日目は1日目の遅れを取り戻すべく、約10時間半の長時間山行になった。
歩き始めは曇り、午後からの天気も良くない様子。
標高が2000mを超えたとは言え、まだまだ樹林帯は続いていった。
森は湿度が高く、ムシムシしている。
茶臼小屋に近づくにつれ、ガスが一層濃く立ち込めてきて、しとしと雨が降り始めた。
小屋直下の道には草花がたくさん生えていて、雨に濡れ、風が吹くとシャラシャラと揺れる。
茶臼小屋に着き少し休憩した後、茶臼岳へ向かった。
向かっている途中、雨がひどくなってきた。
山頂付近は大きな岩がゴロゴロしており、ガスに覆われて何も見えないので写真だけ撮って先を急ぐ。
仁田池も霧の中。
雨だけでも十分なのに、上空で雷がゴロゴロと鳴り始めた。
途中出会った方々とも「お互い気をつけて行こう。」と声を掛け合い、深い森の中を黙々と進んでいった。
易老岳山頂は、倒木やくねくねした木に囲まれた静かな山頂だ。
風は無かったが、相変わらず雷は上空で鳴っている。森は霧で覆われて薄暗く、しかし、しっとりとして綺麗だった。
森を抜け、ぽっかりとあいた広場のような三吉平にでると、光岳方面から下ってきた楽しげなおじさん達がいた。
おじさんは「ここから、嫌ってほど登るよ〜!頑張って!」と笑いながら言っていたが、本当にこの上りは辛い。
足元は不定形な石がゴロゴロとしていて、浮石も多い印象。結構な奥地まで来て、最後の最後に先の見えない上りが続くのである。
やはり光岳は、そう簡単にはたどり着かせてくれない。
この頃には雨は止んでいたが、足元は濡れていて転ばないように神経を使った。
そして、テン泊装備を背負っての9時間以上の行動時間。疲労が溜まっており、なかなか速度が上がらない。
少し上っては休み…を繰り返して進んでいった。
歯を食いしばりながら上って行くと、ガレた足元の石が小さくなり始め、なだらかな場所に出た。静高平だ。
「もう登らなくていいんだ」と思うも、小屋はもう少し先のようだった。
また、静高平には水場があるが、涸れている事が多いらしくこの時も水は全く出ていなかった。
周辺を見渡すと、沢山の花が咲いている。
紫色の花はトリカブトらしい。
少し進んだ所にあるセンジガ原には木道があり、その脇には、モコモコと盛り上がった野原が広がっている。
亀甲状土という現象で、地中の水分が凍ったり溶けたりを繰り返す事でこのような不思議な景色を作り出しているそうだ。
光小屋に着き、テントを設営しようとするとなんだか様子がおかしい。
テントのポールを固定するパーツが一つ足りないのだ。足りないというか、取れている。そしてどこにも無い。(多分、横窪沢に置いてきたのだろう)
私のテントは、ポールの先をグランドシートに付いているパーツに差し込んで固定するのだが、そのパーツが1つない。
とりあえず3本は固定しましたが、1本ビヨヨーンと行き場を失ったポールの先。
しばし呆然と立ち尽くしていたが、仲間の知恵によりなんとか固定する事ができた。
そんな中作ったカレーうどんは、本当に美味しくて体に染み渡ったのだった。
後半へつづく→南アルプス南部 光岳-茶臼岳-上河内岳縦走(後半)2018.8.11-15