南アルプス深南部 光岳-茶臼岳-上河内岳縦走(後半)2018.8.11-15

3日目 8/13

 

【コースタイム】

 

光小屋 5:30 - 光岳  5:50 - 光石 6:00 - 光岳 6:25 - 光小屋 7:28 - 三吉平 9:00 - 三吉ガレ 9:15 - 易老岳 10:00 - 茶臼岳 13:30(泊)

 

 

 

夜中は雷が鳴り風も強く、パーツが足りないテントが飛ばされるのではないかと思いヒヤヒヤしてあまり眠れず。

 

 

早朝4時くらいは小雨とガス。しばらくすると晴れ間が出てきたので、光岳へ向かった。

 

小屋から光岳への道はアップダウンもなく20分ほどで到着する。

 

 

山頂を見た第一印象は、「渋い」。さらに木々に囲まれており、展望は全くない。

 

 

苔むした光岳の標識は代々続く由緒正しき墓石のようだ。

地味ではあるが時間が経つにつれ、気持ちが落ち着くとても好きな山頂になっていった。

 

 

山頂から少し下って光石へ。

 

 

森を抜けると突如、巨大な岩の塊が現れた。光石の向こうには、雲海が広がっている。

 

 

近くに寄ってみると断崖絶壁。

 

 

少しずつ霧が晴れてきて、山々が見えてきた。

 

 

せっかくなので、光石に登ってみる事にした。山の稜線に光が当たって綺麗だ。

 

 

風が強く、谷へ向けてゆっくりゆっくり雲が流れていく。

 

 

見渡す限り、山、山、山。

 

 

「随分と奥地まで来たもんだ…。」

てっぺんに座ってそんな事を考えながら、ぼんやりと雲の流れを眺めていた。

 

 

さて、たっぷりと光岳と光石を堪能したので、小屋に戻ってテントを撤収しよう。

 

 

小屋まで戻るの道すがら、霧の先に明日向かう上河内岳が顔をのぞかせる。左から南岳、一番高いのが上河内岳、右は仁田岳。

幻想的で不思議な雰囲気だ。

 

 

小屋に戻ってくる頃には、すっかり晴れて暑いくらい。

 

 

亀甲状土のセンジガ原を抜け…

 

 

午後から天気も崩れそうだったので、イザルガ岳は今回は見送り。

 

 

行きでも悩まされたガレ道。この日は茶臼小屋まで戻る為、下って行く。

 

昨晩からこの濡れたガレ道を下るのかと心配していましたが、思っていたよりスムーズに下ることが出来た。

 

 

倒木から生えていた苔。

グーンと伸びた先にガマの穂みたいな形のものが付いていた。良き形、良き質感である。

 

 

地面にはシダがびっしりだ。

 

 

昨日は雨の中、この道を通った為ゆっくりと森の様子を見られなかったが、この日はシダで覆われた美しい森を堪能しながら進んで行けるのが嬉しい。

 

 

三吉平を過ぎ、森を抜けると…

 

三吉ガレ。

 

こちらも昨日、光小屋へ向かう時には濃霧で全く見えず通過した場所だ。

谷底からビュウーーっと風が吹き上げてくる。

周りには花が咲き、のどかな空間に出たなと思ったら大間違い。覗き込むと迫力あるガレ場だった。

 

 

易老岳を過ぎ、歩いていると雲行きが怪しくなってきた。晴れ間はみるみるうちに消え、再び霧が出てきて上空では雷が。

雨はまだ降っていなかったが、今にも降り出しそうだ。

 

 

森を歩いていると立ち枯れの木と若木が交互に生えている場所があった。縞枯れと言うそうだ。

 

 

その後、奇妙な形をした木を撮影したのを最後に、無情にもまた雨が降ってきてしまった。

 

 

茶臼岳への稜線は、顔がこわばるくらいの暴風雨。

ビョォーーーッ!ゴロゴロゴロ…ザーーーッ!ーーゴロゴロッ!!ザーーッ!ビョォォォー!!

 

 

茶臼岳山頂を大急ぎで通過し、雨風の中を真顔で小屋に向かって下りて行く。

この時、鼻水がガンガン垂れていたが、激しい雨が顔にあたるのでどうでも良い状態になっていた。

 

 

 

13:30 茶臼小屋に到着。

 

3日目は送迎バスの関係上、茶臼小屋に宿泊する予約をしていた日だったので、偶然とはいえホッと一安心。

 

小屋は暖かい。

 

 

こんな天気でしたが、テン場には多くのテントが張られていた。

 

 

夕食までは時間があったので、ストーブでレインウェアなどを乾かしたり、スケッチをしたりしながら過ごした。

 

 

夕ご飯には、なんとうなぎが。その他にもひじき、焼肉、サーモンのマリネ。

お腹が空いていたので勢い良く口へ運ぶ。全て大変美味しく、個人的には柴漬けがあったのが嬉しかった。

 

 

夕食後に寝床の窓から外を眺めていると、降っていた雨は止み、霧も晴れてきて山並みが見えてきた。

夕日に照らされて虹が出たり。

 

 

寝床は自前のマットを敷き、シュラフで寝るスタイル。シュラフがない場合は貸し出しだ。

ほとんど全てのスペースが埋まっていたが隙間はあり、快適に眠る事ができた。

 

 

 

 

4日目 8/14

 

【コースタイム】

 

茶臼小屋 5:10 - 奇岩竹内門 6:30 - 上河内岳の肩 7:05 - 上河内岳山頂 7:21 - 上河内岳の肩 7:56 - 南岳 8:34 - 岩頭 9:10 - 聖平小屋10:25(泊)

 

 

 

朝、4時くらいに起床し、朝食は4:30と早め。

食べ終えた後、外に出てみると空は朝焼けで赤く染まり、くっきりと富士山が見えた。

 

 

朝からしっかりと食べたおかげか元気がでた。

午前中は晴れとの予報だったので、期待して上河内岳へ向かう。

 

 

稜線は風が強い。 這松がぐわんぐわんと揺れている。

 

 

濃霧の中ポツンと佇む標識。この世とは思えない景色だった。

 

 

風が強いので雲や霧がどんどん流されていく。

 

 

上河内岳への緩やかな上りの道。向こう側は明るいので晴れそうだ。

 

 

ああ、あれは上河内岳!シルエットが見えた。

 

 

徐々に霧が晴れて、青空が見え始め…

 

 

上河内岳だ!

 

これまでずっと雨に泣かされていたので、これだけしっかり山が見えたのがとても嬉しかった。

 

 

這松の中を歩いていく途中、横に目をやると青空の下には雲海が広がっていた。

 

日差しが出てきた事で気温は上昇していき、暑い。そして沢山の羽虫がブンブンと飛び回っている。

虫は好きだが、それでもちょっと多いな…と思うくらいだった。

 

 

高度が上がっていくにつれ、霧はなくなっていった。

 

そして、奥にどっしりと構える上河内岳。本当に綺麗だ。やはり、晴れた日の稜線歩きは素晴らしい。

 

 

雲海が目の前に。それよりも上にいるのが不思議な気分だ。

 

 

雲海から頭を出した聖岳は圧倒的な存在感。

 

 

上河内岳の肩にザックをデポし、いよいよ山頂へ向かう。

 

 

そして山頂に到着。 最高の景色だ。

 

 

上河内岳の標識の真後ろに、聖岳がどーーんとそびえ立っている。

 

ものすごい迫力。そして聖岳がとてつもなく大きい。

 

 

山頂をウロウロして先端の方にいくと、またも富士山。

白い海に浮かぶ島のようである。

 

 

下を見ると、尾根の形が鋭利な山たち。その形ら険しさが伝わってくる。

 

 

山頂からの360度の景色を堪能したので、そろそろ下りる事に。

 

天気予報によると11時くらいには天気が崩れるとのこと。

こんなに晴れているのにな、と思いましたがここ3日間の天気を考えると、朝 晴れ → 午前中 曇り → 午後 大荒れor雨 の繰り返しだった。

 

聖平小屋に着くまでになんとかもってくれと願いつつ、山頂を後にした。 

 

 

 

お花畑の脇のトラバース道は細い。

 

 

南岳へ向かう登山道は、狭くガレている。

 

 

切れ込みが激しい谷。怖いけれど、荒々しくて格好良かった。

下の写真は今回の山行の中でベスト3に入るくらい気に入っている。

 

 

さらに足を進めると、森林限界から再び森の中へ入って行く。

どんどん下って高度を下げていくのだが、まだ下るのかというくらい下った気がする。

 

 

ここに来て雲が厚くかかり始め、次第に森の中にも霧が立ち込めてきてしまった。

 

 

下り切ると少し開けた空間に出た。

 

向こうの方に赤い屋根が見えてきた。ああ、早く聖平小屋のウェルカムフルーツポンチが食べたい。

 

下っている最中、頭の中はフルーツポンチで埋め尽くされていたのだった。

 

 

木道を歩いて行くと、小屋はもうすぐそこだ。

 

 

10:25 聖平小屋到着。

 

本来はここでもテン泊予定だったのだが、部品を紛失をしていたので天候のことも考え、小屋で素泊まりにする事にした。

 

到着時間が早かったからか案内された部屋にはまだ私一人。夕方が近づいて来るにつれて80%くらいになった。

 

 

そして、念願のフルーツポンチ。

甘酸っぱくて本当に美味しかった。

普段はシロップまでは甘くて飲めないのだが全て飲み干してしまった。

 

 

その後、寝床で荷物の整理をしていると、予報通りザーーッ!と雨が降ってきた。

 

外でお昼ご飯を作ろうとしていましたが、中にある自炊スペースで作ることに。

夕ご飯も同様に、同じ部屋で話した方々と一緒に作り楽しい時を過ごした。

 

 

 

 

 

5日目 8/15

 

【コースタイム】

 

聖平小屋 5:50 - 造林小屋跡 9:05 - 聖沢吊橋 9:50 - 聖沢登山口 11:19

 

 

ついに山を下りる日が来た。

 

昨日の「朝は多めに食べると元気」という教訓から、早朝から乾燥パスタのカルボナーラ味に残っていた魚ニソーをぶつ切りにして投入、完食。

若干食べ過ぎた感はあるが、山に来ると普段の暴食が小食気味になるので、これくらい食べてもいいだろう。

 

隣の机ではおばあちゃんおじいちゃんグループが、マフィンを焼き、スープを作っている。

他にも、何か焼いていて美味しそうな香りがしてきた。

 

 

さあ、最終日。気を引き締め直して下山開始だ。

 

 

 

しばらくは、森の中の沢沿いを歩いて行く。道はぬかるみがひどかった。

 

 

時々、滝が出てきた。これは小さい方。

 

 

徐々に道の傾斜が激しくなってきた。

太い倒木を全身を使って乗り越えたり、虎ロープが備え付けられている幅30㎝にも満たない粘土質のトラバースなどがあり、なかなかアクロバティックな登山道だった。

 

 

地図に、ガレ場が連続 注意!と書かれていたあたり。

沢になっており、見上げると今にも落石が起きそうなガレ場。下は切れ落ちているわけではありませんが、慎重に通過した。

 

 

この日の天気は曇り時々雨。

ガレ場を通過している時は晴れていたので助かった。

 

危険な箇所を越え植林地までは急坂を下り、その後はずっと森の中を歩く。

テン泊装備のザックも最終日にはだいぶ軽くなったが、それでも長時間歩いていると肩に食い込んできます。

 

さらに、植林された奥多摩のような道をガンガン下って下って、

 

 

11:19 聖沢登山口 無事下山。

 

 

登山口には、聖平小屋からずっと同じルートだった方々が既に到着していた。

13:00のバスに乗る予定だったのでバスが来るまで、お昼ご飯を食べながら待つ事にした。

 

その後はバスに揺られ、アルペン号に乗り換えて白樺荘でひとっ風呂。5日分の汚れを落としてさっぱりだ。

 

 

 

4泊5日という未知の日数の山行。

テントの部品を無くしたり激しい雨に降られたりもしたが、仲間に励まされながら5日間無事に歩く事ができた。

 

本当は聖岳も登る予定だったのだが、天気と時間を考慮して今回は見送りにしたので是非また行きたいと思う。

 

 

 

山深い南アルプス南部には、静かで美しい森が広がっていた。