春だ。山が笑っている。
この季節の西丹沢は本当に綺麗で、新緑にも満たないホワホワとした芽吹の色が、そこかしこに溢れている。
そんな大好きな山をスケッチをしながらゆっくりと歩いてきた。
沢沿いの道はいつも通り。雨が降って沢の水は少し多かっただろうか。山桜の花びらが舞って、水面を流れて行った。
沢沿いに咲いていたテンナンショウの仲間 種類は不明
歩いていると鮮やかな物体が目に飛び込んできた。
よくよく見てみると倒木に苔が生えて、胞子を出す突起が無数に伸びている。
とにかく色と質感がすごい。蛍光味を帯びた黄緑の苔の上に朱色の線。その先には柿の種みたいな形の塊がにょろっと付いている。
それに目を奪われてしまって、あれやこれやと角度と距離を変えて観察していた。自分が小さくなってこの赤い森に入り込んだら面白そうである。
とても気に入ったので、何か絵に出来ないかと思案中…
さて、今回の目的はブナを描く事だ。
ブナは尾根上に生えているので、沢を離れてしばし標高を上げて行く。登っているともうじんわりと汗をかく気温だった。
アセビの林を通過して、尾根道に出るとブナの枝先まで見えている。沢沿いの木々や草花は春めいていたが、山頂近くのこの尾根はまだ春の準備中だったようだ。
朽ちかけた倒木がドカンドカンと道の脇にあるので、そこに腰掛けて一休みした。
スケッチをしていると、ついつい時間が経つのを忘れて集中してしまう。今日は絵の具は持ってきていなかったので、下描きのみ。
自宅に帰って着彩した。
ブナの尾根道