前々から見たいと思っていた五色沼(魔女の瞳)に会いに、福島県にある一切経山へ行ってきた。
浄土平までのバスが廃止された後は公共交通機関組にとってはなかなかハードルが高く、行く機会が遠のいていたのだが、今年から福島駅〜浄土平までの往復送迎サービス(浄土平スカイアクセス)が出来、おっ、これは行けるではないか!と歓喜したのだった。
前日までに予約すればいいので、ギリギリまで天気予報とにらめっこ出来るのも利点である。
浄土平までの道中では標高が上がるにつれて激烈濃霧となり、これは一体どうなることか…と思っていたのだが、実際に来てみると風が強く雲がどんどん流されて晴れ間がちらほら見えている。
また、レストハウスの周辺には平日の月曜日にも関わらず、紅葉を見に来たであろう観光客で賑わっていた。
モクモクモクモク… 山肌からは水蒸気が立ち上り、どこからかうっすらと硫黄の香りがしてくる。
火山帯の地質の良いところは、灰色から茶褐色の色味の幅が豊かであるという事だ。
興味の無い人からするとただの灰色やベージュであるかもしれないが、よく観察してみると黄色みのグレー、赤みのグレー、オレンジや紫がかった色まである。そんな絶妙な色の変化をしてくれるのが火山帯の山肌である。
山に行くと色や質感をよく観察している事が多い為、これらは私の大好物だ。そして、絵の具でこの中間色を作る時、とても楽しい。
見上げる先の斜面に生える紅葉樹や下草は、色付いて綺麗である。
全ての山肌が紅葉しているような山ではなく、紅葉樹、針葉樹、笹…といったように植生が様々な為、緑と黄色、オレンジに赤とポップな色味だ。
少しずつ岩がコロゴロ現れる
振り返ると、吾妻小富士がよく見えた。平面からボコっと小さな火口が盛り上がり、口を開けているのが何だか面白かった。
ドドーン!!
この辺りからが一番鮮やかな景色を楽しめた。
今まで登ってきた道沿いに生えている鮮やかな低木達と、麓に広がる黄葉の森。あれはなんの木なんだろう。
進んで行くと鎌沼と山頂への分岐がある。湿地帯と笹原の、のっぺりと開けた場所だ。
笹は強風を受けてザザァーーッザザァーーッと波打っている。
そして、ここに来た途端、風が吹き荒れてさっきまで日がさして暑いくらいだったのに、どんどん寒くなってくる。堪らずレインウエアを着込み、フードを被った。
山頂へ向けて強風の中、歩を進めていくと目の前の草木はとても鮮やか。
そして後方には先ほどの湿原地帯と鎌沼の姿が見えた。ちょうど日光に照らされてうっすらと青く光る水辺と美しい景色に、何度も何度も振り返って見入ってしまった。
一方、進む先の景色は、広葉樹は無くなり背の低い針葉樹と下草、そして砂礫へと徐々に変化していく。
ここも気持ちのいい場所だった。
進んで行くと、植物が激減し始める。そして、周囲に遮る物が無くなり、体が持っていかれそうなくらいの暴風になった。
衣服は風を受けて、ビョビョビョー!!と形が変わり、被っているフードは今にも取れそうだ。鼻水も出っ放しである。
やがて植物は無くなった…
そうして、ズビズビと鼻をすすりながら山頂に着いのだが、さっきまでの道よりも風が強いので、さてここで一休み…なんて事は到底不可能だった。
標識から少しだけ緩やかな傾斜を歩いていくと、真っ青で大きな水が現れた。
色で言うと、セルリアンブルーに少しターコイズを混ぜたような感じである。こりゃぁ物凄い発色だ!やったぜ!と感激しつつも、髪の毛が全て逆立つ程の風の中、身を乗り出して足を滑らせたら一貫の終わりである。
写真を撮りたいが、下はガラガラの砂礫・暴風と相まって、ここにいた皆が恐る恐る眼下に広がるこの景色をカメラに収めていた。
この日の予報はずっと曇り。
しかし、山頂付近はあまりの暴風で雲が吹き飛ばされ、見事に晴れになったのだった。
東北の山ではいつも天気に恵まれず、景色をこんなはっきりと見られた事がなかったので、本当に嬉しかった。
次に来る時は、五色沼の方へ下ってみたい
来た道を戻りながら福島市街地を眺める
グワングワンと激しくなびく這松の向こうには、吾妻小富士。出発時に見た時よりも、周囲の荒涼とした景色も相まって大変かっこいい。
午前から午後の光に移り変わり、景色の色も違う見え方をすると思う。鎌沼の青は午前中よりも少し濃く見えた。
分岐まで戻ってきた。行きで通過した時には曇天の色だったが雲がどんどん流されて、湿原には日光が降り注いでいる。
相変わらず風は強いが、山頂での暴風に比べればなんてことはない。
池塘と笹原の美しさにつられて、鎌沼の途中まで行ってみる事にした。
本当は、鎌沼を周回して浄土平まで行きたかったのだが、森の茂みから熊が出てくるかもしれない…ということで怖くなり、少し寄り道をして元のルートへ戻った。(登山口に注意喚起あり)
うっすらと淡い水色を纏った鎌沼は、五色沼とは違う控えめな美しさがあった。やっぱり山の中にある水辺は最高だ。
ナミナミナミナミ〜
もうすぐ登山口という辺りに差し掛かった時、こんもりとした森が目に留まった。
ああいう形のババロアあるよなぁ〜