まず始めに言っておくと、この山行は本当ならば4泊5日の山旅であった。しかし肩の不調により急遽計画を変更、1泊2日で下山した。
なんとも情けない結果になってしまったが、とりあえず無事に帰って来る事が出来て良かった。
【コースタイム】
9/11
チロル前登山口 9:41 - 斑尾山 11:22着 - 11:42発 - 万坂峠 13:10 - 沼の原湿原 14:19 - 赤池キャンプサイト 15:06 泊
9/12
赤池キャンプサイト 6:45 - 斑尾高原 山の家 9:15
登り始め、斑尾山までの「かえでの木トレイル」はゲレンデを直登する急坂で日影というものが一切ない。
本日の天気は快晴。日差しは「強!」といったところだ。
山における日差しというものにめっぽう弱い。ああ、直射日光が…。
加えて初日のザックは重い。
4泊5日分の食料とテント、水2ℓ、カメラ…多分、総重量約12・3kgくらいだと思うのだが、久々の長期テン泊装備はずっしりと重かった。
辛いゲレンデを登りきり、やっと森の中へ入っていくと念願の日影が現れた。
途中、清々しいブナ林を通り抜けていく。木陰は少し暑さも和らいで気持ちがいい。
今日は日曜日という事もあってか、斑尾山だけ登りに来ている方々も沢山いた。距離こそ短いがあのゲレンデの登りがしんどかったのだろう、皆口々に
「あ〜!きつかった〜!」と言っていた。
山頂でおにぎりを食べ、しばし休憩。
この後の行程も、主となるのは里山歩きなのだが、季節はまだ残暑真っ最中の9月半ばだ。小刻みに繰り返すアップダウンの低山は、思っていた以上に体力を消耗していった。
美しいブナの林
里山らしい風景
森の中を抜けると次のポイント地点となる万坂峠へと向かう道に出るのだが、再びゲレンデ内を歩いていく。
本来であれば雪が積もる道なのだから仕方がないが、所々傾斜が強く、下は砂利が浮いている為滑りやすい。
暑くてぼうっとしている上に疲れが溜まっている時こそ、足元には気をつけたいものだ。(一回転んだ)
ゲレンデを降り切って、再び森の中へ。
通常のコースでは万坂峠から袴岳へ登頂してから赤池へと向かうのだが、この暑さで2ℓの水が残りわずかとなっていた為、ショートカットになる湿原コース経由にて赤池キャンプサイトへ向かうことにした。(よく水を飲む方は3ℓくらいあった方がいい気がする)
この道はほぼ平ら。所々で細い沢が流れているので地面は少しぬかるんでいる。
少しだけ秋
しかし、日曜日だというのに人がいない。斑尾山を過ぎて、湿原ルートへと変更した後もほとんど人に会う事はなかった。
湿原には沢山の葦が生えていて、風が吹くとサワサワと揺れるのが印象的だった。草の色も少しだけ黄色が混じりはじめ、秋へと移行していっているようだ。
ブナの樹皮の美しさよ
物語にでも出てきそうな緑のトンネルを通っていると、蜘蛛の巣に沢山引っかかった。あまり人が入っていないのだろう。
また、暑さが残る9月半ばはまだ最適期ではなく、もう少し涼しくなってからの方が長く歩くにはいいかもしれない。
湿原ルートは、生い茂った葦を横目に木道や沢山のどんぐりが落ちている平和な道を歩く。
途中一度山中に入り、上り下りする箇所があるが、さほど距離はなく再び森から吐き出されるとすぐに赤池のほとりである。
無事にテントサイトに着きテント設営を始めたはいいものの、ポール内のコードがいつの間にやら伸びており、うまく接続出来ないではないか!
なんとか結んだりしながら調節をしてテントは立ったが、いつもよりだいぶ時間が掛かってしまった。
※テントサイトは事前予約・支払い制(協力金)
簡素な夕飯を済ませたのち、明日以降の事を色々と考えてみるが、いかんせん肩が痛い。
ここまで荷物は背負って来れたが、今回のテント泊は夏の長期縦走時よりもかなり重い。3日、4日後と食料分は軽くなるが、不安が残る為、明日下山する事にした。
2日目 9/12
今日は斑尾温泉方面へ周回して戻るだけなので、ゆっくりと準備をして赤池を出発した。
早朝の森を通り抜けて再び湿原へ帰ってきた。時間だけはたっぷりあるので植物観察をしながら歩く。
背丈を越えるほどの葦の道は、上から下まで緑だ。
両側から覆い被さって来そうなほど繁茂している。緑色の生き物の中を通らせてもらっているような、そんな気分になった。
透明の気持ちのいい朝日を浴びながら、小川と並んで歩く。水辺と植物がとても綺麗だった。
赤池を出発した頃は、この山旅はこんなはずじゃなかったのに…と落ち込んでいたが、思い描いていた湿原のイメージを遥かに超えてくる景色に、心はいつの間にやら回復していた。
思わず声が出た場所。本物はもっと綺麗だった。
しばらく森の中を歩いていると車の音がし始めて、先に車道が見えた。
ガサガサと道路脇の藪道から出てきた私を見て、散歩中のおばあちゃんが物珍しそうに近寄って来る。「昨日から山歩いてきたんですよ〜」と言うと「大したもんだぁ〜!えらいねぇ」と褒めてくれた。
今年歩けなかった所は、また来年繋げたいと思う。