北アルプス 夏の薬師岳へ 2022.7.24-25

折立から登るのは何年振りだろうか。

 

以前ここに来たのは2017年の夏、雲ノ平へ向かう為だった。もう5年前になるのかと、当時の事を思い出しながら身支度をする。

準備もひとしきり終わり、熊出没注意の看板を横目に鈴を鳴らしながら森へ入った。

 

 

 

 

【コースタイム】

 

7/24 折立登山口 7:00 - 太郎平 12:00 - 薬師岳小屋 14:40 - 15:30- 薬師岳山頂 16:25 - 薬師岳小屋泊

 

7/25 薬師岳小屋 5:30 - 太郎平 7:20 - 三角点ベンチ 9:35 - 折立登山口 11:00

 

活発なきのこ

太郎平までは意外と時間がかかる。遠い記憶の中では樹林帯を抜けた尾根道しか印象に残っていなかった。

 

いくら標高1000mを超えた登山口付近でもムシムシとして暑いので、早くここを脱出したいと思いながら進んだ。

トンボが沢山飛んでいた

 

 

希望通り樹林帯を抜けたはいいが、今度は日差しが強く暑いではないか。

そんなことは今日の天気予報から百も承知だったのだが、やっぱり暑いものは暑いのだ。

 

登山中、炎天下や暴風雨などの中を一人歩いていたりすると、「なぜ今私は山を登っているのか?本当になぜ?」と心の中で繰り返し自問自答したりする。答えはもちろん絵の為であるのだけれど、「暑すぎる」や「雨強すぎ」などの過酷な状況だと少しばかり疑問が浮かぶらしい。

そんな時は、小屋に着いたらラーメンを食べるとかジュースを飲む!という自分なりのご褒美を思い浮かべるようにしている。

 

 

段々と景色が清々しくなってきた。後ろには湖。

 

 

前方に今日向かう薬師岳が見えてきた。山肌がとても綺麗。

 

そういえば、7月の後半に北アルプスに来たのは初めてかもしれない。それだからか高山植物の花がいつもより多い気がした。

 

チングルマの群生

 

 

太郎平小屋で一休みしてから薬師峠へと向かう。池塘を眺めながら木道をてくてくと歩くのは大変気分がいい。

そんなことを思ったのも束の間、テン場へとどんどん下っていく。そして、下ったという事は案の定登り返しが待っている。

 

 

階段状の岩の上を前日に降った雨がジャージャーと流れている。沢沿いというか浅い沢を歩くような感じだ。幸いな事にこの石は滑りそうにはない質感で一つ一つもさほど大きくないのが救いだった。

 

 

沢が無くなってもゴロゴロ石ゾーンは続く。石が日光を反射して眩しいし照り返しが暑い。

 

 

ガレ場の岩が石になり、なんだか細かくなってきたなと思ったら雪渓が現れ始めた。

 

溶けかけ

 

雪渓は崩壊している所もあるし、ここのように一面広い場所もあったが、端に夏道が露出していたので脇を通って行く。

 

 

稜線が見え始めてきた頃、日差しは強いが風はカラッとしていて涼しかった。これだよこれ、夏山はこうでなくっちゃと自然に笑みがこぼれる。

 

 

ここまで登ってきて思ったのは、薬師岳という山が意外と大きかったという事だ。地図上では折立からするりといけそうな印象を受けるが、そんな事はなかった。緩やかではあるが、大きい山という印象を受けた。

残雪はSの字

谷への角度と青、白、緑が綺麗だなぁ

 

 

ゆっくりではあるが一歩一歩登っているのにも関わらず一向に小屋が見えてこないし、暑い。幾つもの、こんもりしたピークに近づく度に次こそは小屋か?と期待をしていた。

 

そうこうしているうちに小屋に到着。時刻は既に15時前だ。

もう山頂へ行くのは明日の朝でいいかぁと、いつものように思い始めていたのだが、同じタイミングで小屋に着いたご家族に「今行っとかないと明日の朝、億劫になるよ!行こう!」と励まされ、一休みしたのち山頂へ向かった。

 

 

稜線は背の低いハイマツが所々に生えていて、ビュービューと風が強かった。白い山容は美しいが、その反面地面は細かいザレ場で足を取られて歩きにくい。

 

ジグザグのザレザレは足にくる

あの先のてっぺんに何か立っている!ついに頂上だ…!と思ったら違った時の絶望感は何と表現すればいいんだろう。結局、ニセピークを幾つか越えて稜線上をつたって行った。

本当の頂上が見えてきて、少しづつ力が湧いてきた

さて、あと少し

夕刻に近づいて行くにつれ、谷底からモクモクとガスが上がってきた。

脆そうな岸壁

残念な事に、頂上直前でフィルムが切れてしまったので、最後の一枚はデジタルで。

 

標高は2926mもあったのか、と後から写真を見返して気が付いた。