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北アルプス 夏の花咲く爺ヶ岳 2019.8.1-2

 

【コースタイム】

 

8/1

 

扇沢 6:10 - 柏原新道入り口 6:20 - ケルン 7:45 - 種池山荘 11:08 - 11:40 - 爺ヶ岳南峰 12:50 - 冷乗越 14:30 - 冷池山荘14:45 泊

 

 

8/2

 

冷池山荘 5:30 - 冷乗越 5:40 - 爺ヶ岳中峰 6:50 - 種池山荘 8:00 - 8:40 - ケルン 10:45 -  柏原新道入り口 12:10 - 扇沢 12:30

 

 

8/1(木)

 

朝5時すぎ、バスは順調に扇沢に到着した。

 

準備を済ませ、柏原新道の登山口へ向かう。扇沢の駅を背に左側の道を下って橋を渡ると登山口が見えてきた。

 

 

登り始めは樹林帯だ。

ここは奥多摩か、はたまた丹沢か?と思わせるくらいに森の中は蒸し暑い。身体中から汗が吹き出してくるのがわかった。

 

久々の北アルプスだった事もあり、バテてはいけないとペースはゆっくりめだ。

 

 

しばらくすると木々の間から山並みが見えてきた。

 

 

V字の谷。

谷からはもくもくとガスが沸き始めている。谷筋には雪がまだ残り、青空に映える山の姿は荒々しくも美しかった。

 

 

ああ、どんどん雲が上へと昇っていく。一瞬で辺りは真っ白になってしまったが、またすぐに晴れてきた。そんな天気だった。

 

 

足元に黒パンのようなきのこがあったので休憩がてら写真を撮った。何を隠そう、私は黒パンがとても好きなのだ。

 

 

柏原新道は長いが、歩きやすい道だった。平日だというのに沢山の登山者が行き交う。

 

 

水平道。谷から涼しい風が吹き上げてきて気持ちがいい。

 

 

特に危険箇所はなかったが唯一、小さな雪渓をトラバースする箇所がある。

もうだいぶ雪は溶けて薄い。行きには気がつかなかったが、雪渓の上部に雪を避けた道があったので帰りはそこを通った。

 

 

道中、オレンジ色の種池山荘が見えた。ところが、もうすぐ着くかな?と思ってからが長かった。

しかも、今日はとても暑いのだ。日差しがジリジリと体力を奪っていき、沢山水を飲んだ。

 

水がなくなりかけた頃、コバイケイソウの大群落が目に飛び込んできた。

 

 

種池山荘だ。さっきまで晴れていた空は少しづつ雲に包まれていく。

 

花に見とれていると、コバイケイソウの写真を撮っていたおじさん二人が「今日は、暑くてきつかったねぇ〜!いやあもうヘトヘト!」

と声をかけてくれた。

 

見上げると、爺ヶ岳の稜線へ向かう道から同じルートで入ったお兄さんが手を振っている。

さっきまでの暑さは、気持ちがいい風でどこへやら。一気に平和な気分だ。

 

ここでお昼にしよう。

 

 

種池山荘から爺ヶ岳へ向かう道には、コバイケイソウ、イワカガミ、チングルマなど、いくつもの花が咲いていて目を楽しませてくれた。

 

 

チングルマの花が可愛くて、しばらく観察。

 

 

樹林帯を抜けるまでは見えていた青空も稜線ではほとんど見えなくなってしまった。

 

 

どんどん上がってくる。

 

 

這松の間をぬって稜線をゆく。

左右の谷からわき出したガスは途端に山の上部へと昇っていき、次から次へと山を隠しては流れていった。

 

 

稜線上にうっすらと見えたのは、この日泊まる冷池山荘だ。

 

 

時折、厚い雲の隙間から青空が顔をのぞかせるのだが、それもまたすぐに隠れてしまった。

雨が降らないだけいいのだけど。

 

 

見下ろした森にはうっすらと霧がかかり、ぼんやりとしていた。

 

 

砂礫の道を登ってきた。振り返るとくねくねと曲がった道が面白いリズムを作り出していて面白い。

 

もうそろそろ種池山荘は見えなくなりそうだ。

 

 

だいぶ登ってきたが、山頂はまだ先。

 

 

さらに登って行くと這松の間に所々、シャクナゲが咲いていた。花の盛りはまさに今といった感じ。

 

 

13時前、爺ヶ岳南峰到着。

 

山頂直下のザレ場を登りきると頂上だ。かなりガスが上がってきてしまったが、かろうじて来た道や山並みは見えた。

 

 

霧が出ているとはいえ、これから向かう稜線が見えているので今日はかなりいい方である。

 

 

南峰を後にし冷池山荘を目指して再び進むのだが、この頃から風が少し強くなってきた。頼むから雨だけは降らないで…と念じながら歩く。

 

お先真っ白だ。

 

 

途中、コマクサの群生地があった。ガレの中にポツポツと咲く花はとても鮮やかで綺麗だ。葉も細かな装飾のようだった。

 

 

この辺りからほとんど人に出会わなくなった。

 

平日登山だと前後に人がいないという事はよくあるのだが、種池山荘までと比較するとかなり少なくなった気がして少し寂しくなったのだ。

 

 

そこまでアップダウンはないのだが、時々登り返すところがある。

 

晴れていたらどれだけの景色が広がっているのか…と白い空間を眺めて足を止めた。

こんな天気だが、ギザギザした山容は格好が良い。

 

 

途中、爺ヶ岳中峰の標識が出てきたが通過した。

だって、今行っても真っ白い世界が広がっているだけなのは容易に想像できる。ならば、明日の天気にかけて帰りに立ち寄ろうと思ったのだ。

 

 

谷へと下る斜面の緑は様々な種類があって、見ていて飽きない。這松に近寄ってみると細い葉と綺麗な緑が集まっているのがわかる。

 

 

遠くから見るとどこを歩くのか不安になった場所も、霧の中に入って行くと細いが、ちゃんと道があった。

ただ、両側は切れ落ちている。

 

 

這松とガレでジグザグの模様。 ここを下るとやっと冷乗越に到着した。

 

山荘までもう少しだ。

 

 

14:45 冷池山荘 到着。

 

 

部屋に案内してもらい、同室の方々と楽しくそれぞれの山行について話をする。

 

「なーんか疲れちゃったから、明日は鹿島槍に行かずに下山しますよ〜。」という話を聞き、爺ヶ岳は登ったしいいか…とそんな気分になってきていた。

 

そう、今回の山行の本命は鹿島槍だったのだ。明日早朝4時くらいに出て鹿島槍に行って…と考えていたのだが、単独行の利点は山行計画の変更を自分一人で決定出来る点だ。

足が早い訳でもないし無理して行くより、余裕を持って下山してゆっくり温泉に入ろう。

ということで鹿島槍に行くのはまた今度にした。

 

もう一人の方は、鹿島槍、五竜、唐松へ抜けると仰っていた。

 

 

夕ご飯までまだ時間があったので、外でスケッチをする事に。

 

来た時は見えていた稜線もあっという間に隠れてしまい、山荘周辺の風景を描いていると、行きに話をしていた方にまた会った。

宿泊地を変更して、冷池山荘のテン場に泊まる事にしたらしい。

 

「この天気じゃ夕日は見れませんねぇ〜」としょげていると、夕方からの予報だと晴れて見れるかも、との事。

 

かなりガスっていたので、この時は多分見れないだろう…と思っていた。

 

 

夕ご飯を食べ終え、ぼぉ〜っとしていると何やら空が赤い。急いで外へ出た。内心、晴れるなんて半信半疑だったが本当に晴れたのだ。

 

一日の終わりに、とてもいいものが見れた。

 

8/2(金)

 

朝4時に起床し、自炊室で朝ごはんを食べる。

 

 

5時半に山荘を出発。霧は出ているけれど、晴れそうな雰囲気だ。

 

 

昨日来た時は見えていなかった、谷底への崩壊地が姿を見せる。いやはや恐ろしい。

 

 

冷乗越を過ぎ、振り返ると朝日に照らされた稜線が浮び上がっていた。これは期待できる。

 

 

時間には余裕があるので、景色を楽しみながら歩いた。

 

淡いピンクから水色へ空の色が変わっていく。下から吹き上げて来る風はとても冷たかった。

 

 

霧の上には太陽があって、時折薄陽がさしてくるのだが、なかなか青空は見えない。

 

 

時間はたっぷりある。中峰の山頂で少し待てば霧が晴れるかもしれないと、希望を込めて登り始めた。

 

 

中峰の山頂は真っ白だった。いや、真っ白というか少し灰色だ。そして私の気分も、もはや灰色である。

雨こそ降っていないが風は強く、細かな霧の粒が水と化しカメラやザックを濡らす。

 

そんな訳で、昨日爺ヶ岳南峰で抱いていた希望はこうして打ち砕かれたのであった。登山をやっているとよくある事である。

 

 

同じタイミングで山頂にいたおじさん達も、諦めて下山開始。

 

 

種池山荘まで戻って来ると、向こうの山は晴れていた。

これもよくある事だ。

 

 

登山口に下りてきたのは12時半。溶けるんじゃないかと思うほど、とてつもなく暑かった。

 

 

高速バスの発車時刻は16時すぎ。それまで時間があったので、近くの温泉に行く事にした。

 

扇沢からバスに乗り込み発車を待っていると、髭面の怪しいおじさんが私の隣にドカッと座った。

「わぁ!!久しぶり!!」そう言われ顔を見ると、予備校時代の友人だった。髭が生え過ぎていて、一瞬、誰だかわからなかった。

 

この日は、娘さんと黒部ダムに行った帰りだったそうだ。すっかり父らしくなっていたが、中身は全く変わっていなかった。

お決まりの変なポーズで写真を撮り、爆笑しながら「またね」と別れた。