秋の雲取山 鴨沢〜雲取山〜三峰神社 2016.10.13-14

 

 

丹沢表尾根縦走から一週間が経った10/13.14、東京都で一番高い山、雲取山に登ってきました。

 

今回のルートは、鴨沢〜雲取山〜雲取山荘〜三峰神社という、一泊二日の山行です。

 

雲取山の標高は2017m。

奥多摩の山々の中でも堂々たる存在感を放っているこの山に、果たして自分が登れるだろうかと少し悩んでいました。

しかし、無理のない計画で事前にしっかりとトレーニングや準備をして行けば、単独でも大丈夫だろうと判断し、行く事にしたのです。

3月に登った川苔山(1363m)、5月の棒ノ折山(969m)につづき、奥多摩では3座目となる山でした。

 

厳密には、社会人になりたての頃、お世話になっていた大学の先生方や仲間達と奥多摩のどこかの山に登ったのですが、それが一体何山だったのか、全く思いだせません。

確か青梅線のどこかの駅で降りて、そこから車で少し移動。登山口へは緩やかな坂道があり、その周辺は木や草が生い茂っていました。

道中にはなかなか立派な滝があり、途中、少しの岩場もあったように思います。

東屋があるところで食べたおにぎりが美味しかったなぁ〜という記憶なのですが...。

「滝」という強力なキーワードがあるにも関わらず、現在も発見には至っておりません。

川苔山にも滝があるということだったので、もしやここなのでは...?と淡い期待をしていたのですが、全く違う山でした。(川苔山より難易度は低いと思います)

うーむ。どこだっけ。

 

 

 

10/13  さて、1日目。

始発に乗って、奥多摩駅に到着したのが8:38。鴨沢行きのバスが8:42発なのでギリギリセーフです。

改札を出てすぐ目の前がバス停なのでとても分かりやすかった。

 

この日の天気予報は1週間前から曇り時々雨でした。

予報はばっちり的中し、バスの車内から見た外の景色は霧掛かって、アスファルトの色も濃い。

そして鴨沢へ近づくにつれてどんどん気温が下がってきました。ソワソワしている私を置いて乗客は次から次へと降りていきます。

結局、鴨沢で降りたのは最後まで乗っていた方と私の二人だけでした。

 

 

鴨沢BS 9:35発

 

バス停でもそもそと身支度を整えていると、バスが一緒だった方がバス停に戻ってきました。「初めて来たので道がよくわからないんです。」

という訳で、一緒に地図を見ながら行くことになりました。

 

堂所までは樹林帯で、薄暗い道が続きます。

霧が出ていたので幻想的ではありましたが、やっぱり晴れて欲しかったな。

 

途中、ペースが変わってきたので、それぞれに分かれました。

その方は七ツ石小屋でテントを張るとおっしゃっていました。

 

水平方向にいくら歩いても疲れないのですが、上り坂だと息が上がってしまい、ペースが格段に落ちてしまいます。

やっぱり坂道ダッシュの練習するしかないのか...。ちーん。

 

ここは七ツ石山方面ではなく、巻き道で雲取山を選択しました。だって坂道がきついのは嫌だったんですよ...。

 

途中、木の橋がでて来たりしてちょっとアスレチック気分。

 

 

少し止まると、とたんに冷えてきます。

霧の中を風が吹き抜けると、ブルっとするほど。

さむーとか、恒例の独り言を言いながら写真を撮っていると、この辺りから小雨が降ってきてしまいました。

あーあ。

でも大丈夫!立山登山の雄山の暴風雨に比べたらへっちゃらです。

人間て強くなるんですね...。

 

 

登山道の脇に寄り、急いでレインウエアのズボンを履きます。

 

また、ここまでですれ違った人は数人。

天気も崩れ始めていたので、みなさん急ぎ足で下って行きました。

 

 

見えない相手(天気)に敵意をむき出しにしながら進んで行きます。

「負けねーぞ、雨めぇぇぇ!!」

 

 

ブナ坂に出ると一気に視界が開けました。

本当ならここで木漏れ日の中をウキウキで歩けたはずですが、そううまくいきません。

辺りは真っ白な霧で覆われ、前方の木々もぼんやりと霞んでいます。

 

 

緩やかな坂を登り進んで行くと、工事関係の方達とすれ違いました。

あまりにも人に会わなすぎていたので、人の気配があると少し安心します。

 

更に進んで行くと、ヘリポートが見えてきました。

時折、雲が勢い良く流れて晴れ間が見えたり、隠れたり。

 

 

テントは一張りだけ。どなたかの黄色いテントが薄い緑の中、とても良く映えていました。

いいですね〜、テン泊したいなぁ。

 

14:05 奥多摩小屋 着

 

ちんたらしていた為、やっと奥多摩小屋に着きました。

ああ、おなかすいた!

 

お昼ご飯は、コンビニで買ったチャーハンおにぎりと、ごぼうのお味噌汁(フリーズドライ)、サラミ、チョコ。このごぼうのお味噌汁が美味しかった。この時分かった事は、

 

やっぱり「汁もんて大事」

あと、「チャーハンは正義」 です。

 

この時は、雨は止んでいましたが結構な強風がふいており、とても寒かったのです。

暖かいものがあると精神的にも、身体的にも回復するなと感じました。

また、バーナーを持っていない為に、いつも山専に熱湯を入れて持って行くようにしています。

14:23 奥多摩小屋 発

元気になったところで、雲取山へ急ぎます。

 

小屋からの急坂を登りきったところで単独の方とすれ違いました。

「すごいガスってますねー」と言いながらタッタか下って行ってしまいました。

それにしてもペースが早い。すごいな。

 

ここからいったん森の中に入って行くのですが、道は歩きやすく穏やかです。

時々急な上りがありますが、難しい箇所は特にありませんでした。

 

 

森を抜け、再び開けた登山道を行きます。

ここに来てまた霧が立ちこめてきました。晴れていれば...景色が..むにゃむにゃ...というのは、もう思わないようにして進みます。

 

避難小屋が見えてくると、今日イチの人数の人々がいました。

5.6人はいたでしょうか。そしてこの方々とは、このあと雲取山荘でも会う事になりました。

「もうちょっとですよ〜!」と声をかけて頂き、もう一踏ん張り。

 

15:30 雲取山山頂 到着!

ひいぃぃー。つ、ついた...。

 

ご覧の通り、なんにも見えません。

そして誰もいないので、タイマーをセットするも途中でパシャ....。

 

歩いて行くふうになったのでまあ、いいです。

 

 

そろそろ山荘にいかねばと、前方をふと見ると鹿が!

3頭仲良く草を食べていました。

 

鹿「むしゃむしゃ。」

 

じりじりと距離を詰めていくと、こっちくんなと言わんばかりの目で見てきたので諦めました。

 

雲取山荘は山頂直下にあり、少し急な下りと、森の中の少し狭い登山道を行きます。

薄暗い森の中、霧が再び出はじめて日も傾いてきたので少し心細くなっていると、人の声が聞こえてきました。

 

「雲取山荘はこっちであっていますか?」とおそるおそる訪ねると、

「もうすぐそこですよ。」とのことだったので、安心して残りの道を下って行きました。

 

 

16:00 雲取山荘 着

 

受付を済ませると、部屋に案内して頂きました。

平日で天気も悪かった事もあってか、一部屋を一人で使用できました。贅沢です。

各部屋にはコタツがあり、山荘のおじさんがすぐに火をいれてくれたおかげで、夕食の時間までぬくぬくと過ごせます。

 

玄関のすぐ脇には、ストーブがあり、いい感じのベンチに腰掛けて休んだり。

 

18時になり、夕食の時間です。

この時、山荘に泊まる方々が集まるわけですが、合計で20名ほどだったでしょうか。

私の席は、単独で来た方のエリア。といってもおじいちゃん2名と私の3名だけでしたが。

隣には、山荘へ来る途中道を聞いた測量のおじちゃん達、後ろの方には避難小屋にいた方々がいらっしゃいました。

平日だったので、仕事で雲取山に来ていた方が多く泊まっていたようです。

 

沢山歩き、緊張が解けたからなのか、おなかがもの凄いすいていました。

バクバクと勢い良く食べる私をみて、おじいちゃんが、

「食べるのが早いなぁー、ほれ、何か好きなものをあげるから食べなさい。」

と、自分のご飯を勧めてくれたので、じゃあ...と、お言葉に甘えてトマトを1つ頂きました。ごちそうさまでした!

 

楽しく山の話をしながら美味しい夕食を食べて、大変満足でありました。

 

 

夕食を食べたあと、外に出てみると相変わらず辺りは霧で霞んでいます。

そして、寒い!!

すると外にいた測量のおじちゃんが、

「昨日は月がきれいだったんだよー」と教えてくれました。

「あと、鹿とイノシシもいたぞ!今日は見なかったなぁ。」

私が、「山頂で見ましたよ」と言うと「そうかそうか」とタバコの煙をモクモクさせながら笑っていました。

 

そのあと、おじちゃんたちの部屋にお邪魔させて頂く事になり、部屋飲み状態に。

自己紹介ののち、山を始めた理由や、どこの山に登りたいかなど話していると、なぜ雲取山に一人で来たのか聞かれたので、

「や、山で誕生日を迎えようと思いまして...」と話すと、

「そりゃめでたい!!いつだ?!明日か?!」

「ハッピバ〜スデ〜ツ〜ユ〜」と渋い声で合唱してくれたのでした。

とっても嬉しかったです。

多分人生の中で一番濃い誕生日前夜だったのではないでしょうか。測量のおじちゃん達、本当にありがとうございました。

 

 

10/14 二日目。

朝4時に起床し、朝食は5時。

 

6時にもなるとみなさん、続々と出発して行きます。

山荘のおじさんが、帰りはどのルートだ?と聞くので、行きと同じ鴨沢だというと、

三峰ルートをおすすめされました。

しかし、持っている地図が鴨沢側しか無く、三峰側は途中で切れてしまっていたため、大丈夫かなというと、標識もしっかりあり、道も分かりやすいので大丈夫だよとのこと。三峰神社からのバスの時刻も余裕がありそうだったので、帰りは三峰ルートでいく事にしました。

 

測量のおじちゃんには、

「いい誕生日になりますように〜」

と嬉しい言葉をかけて頂き、ちょっとルンルンです。

そしていったん、富士山を見に山頂へ!

 

山荘からは20分程上り、ゼイゼイと息を切らして歩いて行くと....

 

おおおお!!

 

富士山もバッチリ。

こういう絵はがきあるよね的な構図です。

いやあ、幸せだなぁ〜。

 

もの凄い快晴ではありませんでしたが、立山の時と同様、「1日目は雨、2日目は晴れる」

パターン。うーーん。満足。

 

 

さあ、山荘に戻ってきて出発です。

7:20 雲取山荘 発

 

てくてく行くと、女坂、男坂と分かれていたので、女坂を選択。

 

狭くてぬかるんでいますが、まだ歩きやすい道です。

両脇には笹が群生しています。

 

空気は冷たいですが、時折、日が差してきてとても心地がよい。

サワサワサワ.......と風で葉が揺れる音がします。

そんな朝の山を堪能できる道でした。いい日だな。

 

7:42 大ダワ 着

 

8:45 芋ノ木ドッケ 着

ここまで約1時間。

大体標準コースタイム通りで来ていますが、結構道のりが長く感じました。ここまでの上りがきつかった...。

 

ここからは一回下って、また上り返し。

「白岩山まで頑張れば、あとは下りだよ。」という単独のおじいちゃんが言っていた言葉を支えに頑張ります。

 

途中、森の小径みたいな所を通過するのですが、なんとも良い感じ。

タイマー機能で遊びすぎて時間を使ってしまいました...。

 

雪が積もったらきれいだろうな〜。フンフフンフフーン。

ご機嫌になってきました。

 

そして、この辺からちらほら人に会い出します。

バードウォッチャーの方やトレランの方など。

 

8:57 白岩山 着

白岩山を過ぎたあたりから、下りが急になってきました。

 

 

9:44 前白岩山 着

 

9:58 前白岩の肩 着

またもや急な下り坂です。

足下は落ち葉が堆積していて柔らかいのですが、湿っているため幅の狭いところなどは慎重に行きました。

 

足の置き場が悪いとズザーーッといきそうな箇所あり。

 

苔むして、こんな素敵な場所もありましたが、お清平までの道のりがもの凄く長く感じました。

 

 

10:37 お清平 着

あーー。ここまでが結構長かった。

 

 

もうひと登り!

写真だけ見ると、新緑の季節のようですね。

紅葉の気配はまだ先のようでした。つ、疲れてきた...。

 

11:00 霧藻ヶ峰 着

 

ここは、休憩所になっていてゆったり座れるスペースがあり、山荘で一緒だった、紅葉調査の方たちに再会しました。

「ここからは少し下ると後は緩やかで楽ですよ。」

という事だったので、俄然やる気が出てきました。

 

話の通り、ダダダーッと下ったあとは、樹林帯の緩やかな道がひたすら続く感じでした。

じゃんじゃん登ってくる人達とすれ違います。

 

すっきりとした秋晴れの日。明らかに昨日よりも人が多い。

しかし、三峰ルートを下山しながら思いましたが、これ、行きだったら結構きついな。

個人的には、鴨沢から登って、三峰神社へ下るのが良さそうだと感じました。

(今度は、鴨沢ピストンにしようか)

 

下りますよ〜。

 

三峰神社の奥宮の鳥居。荘厳な雰囲気です。

 

 

ついにここまで来ました。

おや...?熊注意の看板と共に神社へ向かう道の途中に、スズメバチ注意!!の看板が。

息を殺して通過です。

 

12:15 三峰口 着。

 

三峰神社から西武秩父駅へは、一日に数本バスが出ているのでその場所はどこかなーと調べていると、下の駐車場から3人のおじいちゃんが歩いてきました。

 

「こんにちは〜、登山しているのかい?」とにこやかに声をかけられ、なぜか1人のおじいちゃんと私のツーショットで写真を撮る事に。

写真を撮ってたおじいちゃんはテンションが高い!

この、謎展開に困惑しつつ、仲良し3人組のおじいちゃん達が微笑ましかったので、まあいいか。

 

この後、神社内にあるお風呂にいき、食堂でカツ丼をどか食い。

帰ってきて体重を計ると、あんなに歩いたのに行く前より増加していました....。

うーむ。調子に乗って食べ過ぎましたかね。

 

そんなこんなで、雲取山登山は平和に幕を閉じたのでした。

愉快なおじちゃんたち、ありがとう。